シミュレーションゲームでテロ発生時緊急医療のトレーニング 〜 ドイツにおけるシリアスゲームの例

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ボードゲームの好きな方はご存知かもしれませんが、ドイツはボードゲームが盛んな国で、老若男女、とても良くゲームをして遊びます。冬は日照時間が短く寒いので、室内で楽しめるアクティビティが発達したのかもしれません。

 

ドイツで遊ばれるゲームにはありとあらゆるジャンルがあり、純粋なエンターテインメントのためのゲームだけでなく、「こんなテーマもゲームに?」と感じるものも少なくありません。例えば、東西冷戦時代や社会主義時代の東ドイツの官僚制度を体験するゲーム、原子力発電所事故をテーマにしたゲームなど、社会における暗い側面や現象もどんどんゲーム化して遊びます。テーマによっては「遊びのネタにしちゃっていいの?」とギョッとすることもありますが、一見不真面目なようで大真面目、シミュレーションを通じて物事を深く知り、当事者として考えることを目的とした「シリアス・ゲーム」だとみなされているのでしょう。そのようなボードゲームは教育の現場でも積極的に取り入れられています。

 

近年、世界ではテロが多発し、ドイツでも対策が急務とされています。様々な対策が検討・実施される中、医療関係者にもこれまでとは違ったスキルや知識が必要だという認識が高まっています。武器を使用したテロに巻き込まれることによる負傷は交通事故などによる怪我とは異なります。また、同じ武器による怪我でも、防護服を着用している兵士とは違い、普通の服装の一般人がテロに巻き込まれた場合、より重傷となるリスクがあります。こうしたことから、治療に当たる外科医及び医療スタッフにはそれに応じたトレーニングを受けることが求められます。また、ロジスティクスの面でも平時とは異なる対応が必要です。

 

そこで、ドイツ外傷外科協会(Deutsche Gesellschaft für Unfallchirurgie)はドイツ連邦軍との協力のもと、テロ発生時外科治療の訓練教材として、シミュレーションゲーム「テロ・災害外科治療(Terror and Disaster Surgical Care,TDSC®)を開発しました。

 

 

一度に大量の怪我人の処置をしなければならない事態が発生したとき、一人でも多くの人の命を救うためにはどの順番で何をすべきか?このシミュレーションでは、参加者は複雑で困難な状況設定において迅速で的確な判断を迫られます。

このゲームは同協会の主催する研修で使用され、平均的な規模及び設備の病院の対応レベルを高めることを目指します。これまでに実施したゲームセッションでは、参加者の熱中レベルはとても高かったとのこと。

 

テロは起こって欲しくありませんが、いつ起こるかわからないのがテロ。万一起きてしまったときに迅速な対応がなされ、被害を少しでも食い止められるよう、このような準備対策が進められていると知り、いくらか安堵を覚えました。

 

 

参考記事:

Üben für den Ernstfall, in “Orthopädische Nachrichten” 11.2017

 

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