超電導で高効率送電 エッセン市の実証プロジェクトAmpaCityが好調

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ドイツ政府はエネルギー供給に関し、2050年までに達成すべき以下の3つの目標を掲げています。

  • 一次エネルギーの消費量を2008年の50%まで削減
  • 二酸化炭素排出量を1990年の20%にまで削減
  • 電力供給全体における再生可能エネルギーの割合を80%にまで上げる

経済レベルや現在の国民の生活水準を維持しつつ、これらの目標を達成することは大きなチャレンジと言えます。

電力の輸送時には電気抵抗によるロスが生じます。電力が無駄になってもったいないということに加え、このロスのため環境中に大量の二酸化炭素が排出されてしまいます。特に都市部では、大量輸送のための太い配管を設置するスペースが足りないこと、遠隔地から高圧で送電した電力を使用電圧に下げるための変電所のキャパシティの限界という問題もあります。

より効率的に、より経済的に、そして環境への負荷をできるだけ小さく電力を供給するため、2014年4月30日、ルール工業地帯の中規模都市、エッセンで超電導送電ケーブルを使った送電の実証プロジェクトAmpaCityがスタートしました。AmpaCityとはアンペア(ampere)とシティ(city)の造語です。ドイツのケーブルメーカー、NEXANS社製造の全長1kmの高温超電導(HTC)送電ケーブルを電力大手RWEがエッセン市の送電網に統合、送電を開始。マイナス200℃に窒素冷却したセラミック製のこのケーブルを使い、電気抵抗ほぼゼロの状態での送電を実証するプロジェクトです。成功すれば世界最長の超電導送電ケーブルが実現することに。

 

(Image: Nexans.de)

(Image: Nexans.de)

 

公称電圧1万ボルトの超電導ケーブルの外側温度は周囲の外気温とほぼ同じで、シールドされているため磁場も発生せず、設置は簡単。また、従来の銅線ほどスペースが必要ないというメリットがあります。同じ直径で銅線のおよそ5倍の電力送信が可能です。

エッセン市では変電所の容量がすでに一杯でそれ以上拡大するための土地が不足しているそうですが、このケーブルの使用により、現存の変電所の規模を縮小でき、それにより得られた土地を他の用途に利用できると期待されています。

我々の高温超電導プロジェクトは、都市部における未来の送電網計画のための指針

となるだろう。(Dr. Frank Merschel, Deutschland AG 新技術部門)

AmpaCityプロジェクトの期間は2016年始めまで。3〜4年のうちにはエッセンでの試験結果が分析評価され、今から10年後にはエッセン市中心部の送電網が超電導ケーブルによって変わる可能性があるとRWE DeutschlandのDr. Andreas Breuer氏。ただし、ケーブルの生産が追いつけば、とのこと。ケーブルを製造しているのはNIXANS社ですが、ワイヤーは日本製だそうです。

 

ドイツ語ですが、プロジェクトの動画です。

参考:

AmpaCity (RWE Deutschlandのサイト)

E&T掲載の英文記事(プロジェクト開始から180日後のレポート)

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