生涯学習の元祖? 英国オープン・ユニバーシティ (The Open University)

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日本ではほとんどの人が高校3年生、18歳で進路を決めます。その高校によるのかもしれませんが、大学に進学を希望する場合、たいてい高校在学中に文系または理系のどちらかを選択し、それに応じて選択科目を履修するのではないでしょうか。

 

自分に合っていそうな学部や学科を選んだつもりでも、いざ大学に入ってみたら、思っていたのと違ったり、後から本当に興味のあることが見つかる人も少なからずいるでしょう。でも、一度入学した大学をやめて別の大学に入り直したり、学部や学科を変わるのも大変だし、、、と諦めてしまう場合が多いのではないかと思います。または、一度大学を出て社会人になってから、勉強してみたいことが見つかったけれど、まさか仕事を辞めるわけにはいかないし、それにもう、こんな年齢だし、、、、と、高等教育を受け直すのはなかなかハードルが高いことです。

 

私は現在、主に理系分野で英語及びドイツ語の翻訳をしていますが、元々は人文科学・社会科学系でした。日本の大学では英文学、ドイツの大学では文化人類学を学びました。

 

高校までは理科が大嫌いで、科学など自分にはまったく関係がないと思っていました。

 

そんな理科オンチの私がどうして自然科学分野の仕事をすることになったのか、その理由についてはここでは省きますが、私が高等教育機関で自然科学の勉強を始めたのは40歳を過ぎてからです。それが可能となったのは、イギリスに住む知人からThe Open University(英国オープンユニバーシティ)の存在を教えて貰ったからです。

 

オープンユニバーシティは1969年に英国で設立された社会人向けの総合大学。この大学に関する日本語の情報はほとんどないようですが、こちらのページに概要が掲載されています。

 

知人に教えられたオープン大学のHPを見て、「これだ!」と思い、ただちに入学手続きを取りました。即決した理由は次の通りです。

 

  1. 誰でも入学できる。  16歳以上であれば、誰でも登録できます。学歴も国籍も問われません。入学試験もありません。
  2. 自宅にいながら学べる オープンユニバーシティはオンライン大学で、ドイツに住みながらイギリスの大学の講座が受講できます。
  3. モジュールごとの受講 オープンユニバーシティでは学士号・修士号を正式に取得できますが、学位を取らなければならないわけではなく、自分の興味のある講座、必要な講座のみ受講することができ、試験に合格すれば修了証が貰えます。
  4. 自然科学の学位が取得できる オンライン大学は増えて来てはいますが、自然科学を学べるオンライン大学は多くありません。私が勉強を始めた時点では他にはほとんどありませんでした。

 

自然科学を大学で勉強したいとは思ったものの、不安材料がいくつかありました。一番心配だったのは理系分野の予備知識がほとんどない自分が「授業についていけるか」だったので、モジュールごとに申し込めばよいシステムは気が楽でした。講座一つ受講してみて、あまりに難しければやめれば良いと思ったのです。

 

さて、「自然科学を勉強する」とは決めたものの、自然科学にはいろいろな分野があります。実は、登録した時点では、自分がそのうちの何を勉強すればいいのか、よくわかりませんでした。生物学にすればよいのか、化学にすればいいのか、それとも、、、、。でも、無理にどれかを選ぶことはないのです。オープンユニバーシティには物理学・生物学・化学・地学を総括的に学べる「自然科学科(Natural Sciences)」という学科があるので、それに決めました。とりあえず広く学んで行って、勉強する過程で自分の方向が決まったら目標を変更することが可能です。また、オープンユニバーシティには「Open Degree」というオプションがあります。これは既存の学科のカリキュラムを履修するのではなく、人文科学・自然科学・社会科学・芸術などのあらゆる分野から自分の好きな講座を自由に組み合わせて作る独自の学位です。

 

つまり、とても自由度が高いのです。

 

自然科学科に登録した私は、「難しくてついていけないかもしれないから、とりあえず最初の講座だけ、、、、無理だったらやめる」とおそるおそる最初の講座を受講し始めたのですが、やってみるとこれが面白くて面白くて、やめるどころではなくなってしまいました。

 

自然科学科の一番最初の講座はExploring Scienceという自然科学総合講座で、物理学・生物学・化学・地学の基礎を幅広く(しかも結構な深さまで)学びます。

 

教材が送られて来たときには、その量にビックリ。(教科書8冊とDVD1枚)

 

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この教科書が良くできていて、1冊目のGlobal warmingで身近な話題を準備体操に、その後、2冊目のEarth and Space(主に地学)から3冊目の物理へ、4冊目の化学、そして5冊めの生物学へと、その後再び地学分野を掘り下げそこから宇宙へ、量子学の基礎へと展開し、最後の地球外生命のテーマへ広がって講座が終わります。これがすべて見事に連続していて、まったく飽きることなく自然科学の基礎を一通り学ぶことができるのです。

 

この講座の構成には本当に感心しました。そして、この後、各分野の様々な講座を受講し、どれもそれぞれ面白いのですが、この基礎講座に勝るものはないと今でも感じ、自然科学を学ぶようになった自分の原点だと捉えています。

 

このような機会を経て、今、10代、20代の頃には自分でも想像もしなかった世界に足を踏み入れ、それが仕事に繋がっています。

 

最近はオープンユニバーシティだけでなく、iTunesUで授業をオンライン公開している大学が増え、CouseraedXなど、年齢や場所や国籍を問わずに学べる機会がどんどん増えていますね。

 

「やりたかったことがあるけど、今からではもう遅い」と諦めなくても良い時代になってよかったなあと嬉しく思う毎日です。

 

(イギリスの大学対抗クイズ番組でケンブリッジ大モードリンカレッジとオープン大が対決)

 

関連記事もよろしければお読みください。

英オープン大学理学部自然科学科のカリキュラム

オンラインで科学実験

オンライン大学で自然科学を学ぶにあたって苦労したこと・していること その1

オンライン大学で自然科学を学ぶにあたって苦労したこと・していること その2

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2 comments

  • はじめまして. 日本在住のTomoと申します. いちど日本の医療系学部を出て就職したのですが社会人になってからも数学・物理学を学びたいという思いを捨てきれず日本の大学の理学部への進学を考えていた矢先にこちらのブログを見つけOpen University良さそうだなーと思い進学を決めました(BSc(Hons) Mathematics and Physics). OUの自然科学専攻については日本語の情報がほぼないのでこのブログの存在はとてもありがたかったです. 数年前にOUのwebsiteを閲覧したときにはたしか記憶違いでなければMBA以外で日本から受講できる学位取得目的のプログラムがなかった気がするのですが. 良い時代になったものです.

    10月に講義がスタートします. 楽しみですが, 自分がついていけるか不安でもあります. 先輩(と呼ばせて頂いてもよいでしょうか^^;)のブログを参考にしながらOUでの勉強を頑張りたいと思います.

    • Tomo様 初めまして。コメントをありがとうございました。休暇中でネット環境が悪かったため、ブログをなかなか開けられず、コメントを頂いたことに今気づきました。ご返信が遅くなり、大変申し訳ありません。OUに進学することをお決めになったのですね。当ブログが参考になったのでしたら、とても嬉しいです。私がOUに入学した頃、オンラインで自然科学を学べる大学の選択肢はほとんどありませんでしたが、最近、増えて来たようです。便利になりましたね。

      私は現在、大学の方は夏休みで、11月に新しい講座が始まります。またその内容を記事にして行こうと思っています。Tomoさんもがんばってくださいね。

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