インターネットとオープンサイエンス

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Citizen volunteers learn water sampling techniques on Mississippi River, 1998. (画像: Wisconsin Department of Natural Resources)

Citizen volunteers learn water sampling techniques on Mississippi River, 1998. (画像: Flickr/Wisconsin Department of Natural Resources)

 

オープンサイエンス、またはクラウドサイエンスという言葉が近頃、よく聞かれるようになりました。(ドイツではCitizen scienceという言い方が一般的です)

 

これは、アマチュアが学術研究のためのデータ収集や分析に協力することを意味しますが、インターネットが普及し、大量のデータ収集の必要性がますます高まっていることから、最近、大きな盛り上がりを見せているように感じます。

 

市民の科学研究への参加は新しいことではなく、そのルーツは19世紀のヨーロッパに遡ります。1883年に大規模な流星雨が降ったとき、ある科学者が新聞を通し、それを観察した市民のレポートを募集した新聞のが始まりだったようです。(詳しくはナショナルジオグラフィックの記事、市民科学の始まり、1833年の流星雨をどうぞ。私が訳しました)

 

現在、世界の数多くの研究機関がインターネットを通じ、一般市民に研究活動への参加の機会を提供しているようです。

 

こうした流れの中、ドイツではインターネットが社会をどのように変えて行くかに焦点を当てた研究機関、 Institut Alexander von Humboldt, Institut für Internet und Gesellschaftが立ち上げられ、デジタル化時代の科学研究の変化や今後の可能性について研究が進められています。

 

専門家ではないけど科学が好き、何か面白いプロジェクトに参加してみたい、趣味で集めたデータを学問に役立てて欲しい。いろいろな動機で科学研究に参加してみたい市民と研究機関を繋げるためのプラットホーム、Bürger schaffen Wissenが様々なプロジェクトの情報を提供し、市民の参加を支援しています。

 

たとえば、、、、

 

「環境保護のためのダイビング」 ダイビングしながら水系生態系のデータを集める

「地学ウィキ作成プロジェクト」 地元の地形や地質観察データを集めてマップ作り

「アニマルトラッキング」    野生動物の移動ルートを調べる

「enviroCarプロジェクト」  乗っている車の環境負荷をアプリで測定

「子どもの成長観察プロジェクト」乳幼児の身体的発達を保護者が観察し、データを提供する

 

など、面白そうなプロジェクトが盛りだくさん。

 

ドイツのサイエンスコミュニケーションポータル、Wissenschaft im Dialogのサイトに前述のInstitut für Internet und Gesellschaftのプロジェクトの一つ、「Open Science」を率いるSascha Friesike氏のインタビューが掲載されています。インタビューの中でFriesike氏はシチズンサイエンスの可能性についてこのように語っています。(翻訳: Chika Kietzmann)

 

(前略)科学者と市民が手を結べば、科学者は市民の持っている特殊な知識を得たり、データ収集や分析に協力してもらうことができ、また、市民は学術研究に直接関わり、一次情報を得ることができます。科学者がボランティアをタダ働きさせるだけではないかという批判がありますが、私はそうは思いません。市民はそんなに科学者に都合よく動いてはくれませんよ。シチズン・サイエンスはむしろ、お互いの興味を満たす手段なのです。

我々のプロジェクトでは、シチズン・サイエンスが成功するための条件について研究していますが、クラウドソーシングの観点からはこれまでに既に市民参加の動機について、  Partizipationsstudie 2014 „Online Mitmachen und entscheiden“等、いくつかの研究結果が発表されています。大雑把に言うと、動機は以下の3つに分けられます。1)楽しそうだから 2)結果に関心があるから 3)参加することで周囲に認められるから、または参加することで学ぶことができるから。

(中略)

市民が研究プロジェクトに参加する動機を研究するうちに、多くのプロジェクトが科学者のサポートなく立ち上げられていることに気づきました。市民科学者はメディアでは科学者の弟子のような書かれ方をすることが多いです。実際、科学者のお手伝いという性格のプロジェクトもたくさんありますが、それだけではありません。 市民が自ら特定のテーマに大きな関心を持ち、同じテーマに関心を持つ人たち同士がインターネット上で集まることも多いのです。そのようなプラットフォームにいつしか膨大な量のデータが蓄積され、そこで初めて科学者がそのデータの意義に気づくのです。たとえば、 愛鳥家の収集したデータから気候変動に関する重要な知見が得られています。

しかし、シチズン・サイエンスは科学者が参加して初めてサイエンスになるのではありません。重要なのは、知識が生まれるということです。以前であれば、どこかの地方の同好会等にひっそりと蓄積されていただろうデータがインターネット上のプラットフォームを通してオープンになり、互いに繋がるのです。シチズン・サイエンスという言葉がよく聞かれるようになったのは、それが大きいと思います。

(中略)

アマチュアの研究というと、以前は鼻で笑われることが多かったですが、今では科学者はアマチュアの仕事にとてつもない価値を見い出しています。ですから、今日、市民と科学者は互いに尊敬しあい、支え合うことができます。市民と科学者が連携することによって、科学者の仕事についての市民の理解が深まります。(後略)

 

科学が日進月歩で発展して行く中、「科学オンチでさっぱりわからない〜」と置いてけぼりにされたような気になる人が多いのではないでしょうか。でも、自分の好きなこと、いつもやっていること、それが「科学」を生み出すのかもしれないと考えると、ちょっとワクワクしませんか?

 

参考:

Citizens Create Knowledge (From the website of Bürger schaffen Wissen – Die Citizen Science Plattform)

Everyone is a scientist (From the website of the Alexander von Humboldt  Institut für Internet und Gesellschaft

Open Science (From the website of the Alexander von Humboldt  Institut für Internet und Gesellschaft)

Wissen und Forschen im digitalen Zeitalter – Gespräch mit Sascha Friesische (From the website of Wissenschaft-Im-Dialos.de)

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