牛乳は体に悪いのか?ドイツ栄養・食糧連邦研究センターによるアセスメント

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(Flickr: Roxanne Ready)

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「牛乳は体に良い。牛乳を飲むと背が伸びる。牛乳を飲みなさい!」

子どもの頃、よく言われました。学校でも給食には必ず牛乳が出され、中学生になってお弁当持参になっても牛乳だけは学校で飲まされていました。

 

でも、実は牛乳、好きではなかったんですよね。好きでないだけでなく、飲むとお腹が痛くなりました。乳糖不耐症なのです。でも、その頃、まだ乳糖不耐症はほとんど知られていなかったので、なぜお腹が痛くなるのかわからないまま、嫌いな牛乳を我慢して飲んでいました。現在は乳製品を食べるときには乳糖を分解する酵素であるラクターゼ錠剤を飲んでいるので大丈夫です!

 

私のように乳糖不耐症やアレルギーがあるのは一部のアンラッキーな人で、一般的には牛乳は栄養価の高い優良食品なのだと思っていましたが、牛乳は体に悪いと考える人々が少なからずいるようです。伝統的に乳製品をたくさん食べるドイツでも、体に悪いという理由で牛乳や乳製品を避ける人たちがおり、その数は増加傾向にあるようです。

 

好き嫌いを言わずに何でも美味しく食べるのが良いという考えが一般的な日本と異なり、ドイツでは食習慣は個人の趣向や信条、倫理観やライフスタイルにより様々です。牛乳や乳製品を摂らないというのも、多くの食のポリシーの一つ。「牛乳は肥満や糖尿病、循環器系疾患や癌など、多くの病気の原因となる」と主張しています。

 

結局、牛乳は体に良いのでしょうか、それとも悪いのでしょうか?

 

フランクフルター・アルゲマイネ紙 に掲載された、「牛乳は体に悪い」という主張に対する専門家らの見解をまとめた記事「 Die Hysterie um die Milch(牛乳をめぐるヒステリー)」がとても興味深かったのでご紹介します。以下はその要約です。

 

牛乳は鉄分の吸収を妨げ、貧血を引き起こす?

確かに、牛乳に含まれる成分には鉄分の吸収を阻害するものがあります。しかし、そのような成分を含む食品は牛乳に限りません。コーヒー、紅茶、赤ワイン、穀物、米、豆類などにも鉄分の吸収を阻害する成分が含まれています。健康な体は食品から必要な栄養素を十分に吸収するようにできており、吸収を阻害する食品を摂りすぎなければ問題ないというのが専門家の見解です。

小児科医も子どもにはバランスの取れた食事を勧めており、一般にビーガン(動物性の食品を一切摂らない)の食事は子どもには適さないとしています。

 

牛乳は循環器系疾患、高血圧および脳卒中のリスクを高める?

2014年、Max Rubner研究所(ドイツ栄養・食糧連邦研究センター)は、世界の数多くの研究結果をもとに„Ernährungsphysiologische Bewertung von Milch und Milchprodukten und ihren Inhaltsstoffen(牛乳及び乳製品とその成分の栄養生理学的評価)“と題する報告書を発表しました。

この報告書は「牛乳や乳製品が循環器系疾患、高血圧および脳卒中のリスクを高めることはなく、むしろ低脂肪牛乳は、それらのリスクを低下させる」と結論づけています。

 

牛乳は肥満の原因となる?

肥満に関しては、牛乳にはむしろ肥満予防効果があることを示唆する研究報告がありますが、その効果についてはまだはっきりとわかってはいないそうです。

 

牛乳は糖尿病の原因となる?

牛乳は体に悪いとする人々は「動物性タンパク質を多く摂取すると、アミノ酸の一つであるロイシンが過度に吸収されて2型糖尿病を引き起こす」と主張していますが、Max Rubner研究所はこれを否定しています。これまでの疫学的調査および動物実験のデータから、乳製品にはむしろ2型糖尿病を予防する効果があるとみなされるそうです。

 

牛乳を飲むと癌になる?

「牛乳に含まれるIGF-1(インスリン様成長因子1)などの成長因子は、人間の体内で細胞の成長を促進し、腫瘍発生の原因となる」という主張がありますが、これまでに実施されたヒトにおける研究では被験者の血液中に牛乳由来のIGF-1は検出されませんでした

 

また、「乳牛の飼料 にはアフラトキシンなどの発癌性物質が含まれる」ため、危険なのではと心配する人が多いようです。ドイツ連邦リスク評価研究所はアフラトキシンに長期にわたって曝露することにより腎臓癌および肝臓癌のリスクが高まることを認めていますが、アフラトキシンは乳牛の飼料だけでなくナッツ類、果物、米、トウモロコシおよび大豆にも含まれます。

Max Rubner研究所によると、牛乳および乳製品の摂取は癌のリスクに影響を及ぼします。しかし、その影響は、大腸癌ではリスクを下げる一方で前立腺癌では逆にリスクを高めるなど、一定ではないそうです。

 

牛乳を飲むとニキビができる?

これはあながち間違いではないようです。裏付けとなる研究結果は多くないものの、牛乳に含まれるホルモンや成長因子がニキビの原因となると考えられています

 

牛乳に含まれるカルシウムは成長や骨の発達を促す?

牛乳は体に悪いとする人たちもカルシウムの成長や骨の発達を促す効果については肯定的ですが、骨粗鬆症には効果はないとしています。牛乳をたくさん飲んでいる人も骨粗鬆症になるから、というのがその理由のようです。しかし、カルシウムを摂取しなければもっと早く骨が脆くなるでしょう。また、カルシウムは骨を強くするだけでなく、筋肉や神経、血液凝固の働きを高めます。

 

以上から、Max Rubner研究所による報告書は「牛乳は体に悪い」という主張を概ね否定する内容のようですね。

 

参考:

Die Hysterie um die Milch

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