大豆アレルギーでも大豆製品が食べられるようになる?低アレルゲン化食品の開発を目指すフラウンホーファー研究所のプロジェクト「Low Allergen」

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食べ物は何でも食べられますか?

私は中学生の頃、果物アレルギーを発症しました。最初の頃はスイカなど、特定の果物を食べると口の中が痒くなるくらいだったのですが、徐々にそれがいろいろな果物に広がって、10年後には果物は生では一切食べられなくなりました。果物だけでなく、生野菜もドレッシングなどでコーティングしなければ食べられません。さらに、クルミやヘーゼルナッツなどもダメ。

私の場合、あれやこれやが食べられないことにもうすっかり慣れてしまい、生活上それほど不便は感じませんし、うっかりそのようなものを口にしてしまっても、幸い、アナフィラキシーショックのような重篤な症状が出たことはないので助かっていますが、人によってはアレルギー反応が原因で危険な状態に陥る場合もあり、特に自分で食べるものを管理できない小さい子どもの場合、食物アレルギーがあると親御さんもお子さんも本当に大変ですね。

 

食品に対するアレルギー反応が生じるのを防ぐには、アレルギー反応を引き起こす食品を避けるくらいしか方法がありません。しかし、加工食品においては、思わぬ食品にアレルゲンが含まれていることがあり、徹底したアレルゲンの除去は困難です。日本やドイツなどでは加工食品に含まれるアレルギー物質を製品パッケージに表示することが義務付けられていますが、同一の機械で複数の食品が製造される場合には、ある食品に含まれるアレルゲンがごく微量、別の食品の製造時に混入することがあります。そうした場合、原料として使用していないものは表示されないため、消費者は知らずにアレルゲンを摂取してしまう可能性があります。

 

食物アレルギー患者が年々増加していることから、独フラウンホーファー研究所は、 食品に含まれるアレルゲン(タンパク質)に処理を加え、低アレルゲン化し、アレルギーを起こしにくい食品の製造を目指すプロジェクト、「LowAllergen」を進めています。

 

食物アレルギー患者は特定のアレルゲンに対する抗体を持ちますが、抗体が認識するのはアレルゲン全体ではなく、その一部分です。抗体が認識するその部分はエピトープ(epitope)と呼ばれます。「LowAllergen」では、アレルギー患者の血清に含まれる抗体を分析し、その中にエピトープを特定する技術を研究開発しています。研究者らはアレルゲンの中でも特にエピトープが多いとされる大豆について、大豆アレルギーを持つ患者50名の血清を分析し、これまでに374のエピトープを特定しました。

 

(Image: Flickr/T. Hagihara)

(Image: Flickr/T. Hagihara)

 

こうして得られたエピトープ情報を元に、研究者らは大豆タンパクに物理的・化学的処理、または酵素を用いた処理を施し、低アレルゲン化することに成功しました。 中でも特に、酵素による加水分解 と微生物発酵を組み合わせることでエピトープを破壊した大豆タンパクはアレルギー性が非常に低いことが判明しています。

 

この新しい技術を大豆以外の食品にも広げようと、同研究所はライプツィヒ大学大学病院と共同で関連プロジェクト「Food Allergen」を開始、わずか一滴の血液から広範囲のアレルギーを判別するアレルギーテストを開発中です。 現在主流のアレルギーテストはプリックテストと呼ばれ、皮膚に引っかき傷をつけ、その上に抗原液をつけて皮膚にアレルギー反応(膨疹)が出るかどうかを見るものですが、この方法では抗体を持つアレルギーと特徴のよく似た抗原に対して反応を示す、「交差反応」が生じることがあり、患者のアレルギーを必ずしも正確に特定できません。

 

たとえば、シラカバ花粉に対するアレルギーのある人は、白樺と特徴が似ている大豆タンパクにもアレルギー反応を起こすことが少なくありません。しかし、プリックテストで大豆タンパクにアレルギー反応が出たからといって、実際の生活で必ずしも大豆にアレルギー反応が出るとは限らず、食べても問題のない人もいます。エピトープを特定することで、より正確なアレルギーテストが実現する見込み。

 

アレルギーがあるからといって、アレルゲンを含む食品をあれもこれも避けていると、栄養が偏ってしまったり、献立に苦労したり、また何よりも、食べることを楽しめなくなってしまうのは残念なこと。大豆アレルギーでも食べられる大豆、牛乳アレルギーでも飲める乳製品などが早く登場すると良いですね。

 

 

参考: Die Gefahr auf dem Teller

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