痛い生検なしで乳癌を確定する方法をドイツの癌研究センターが発表

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予防医学に力を入れているドイツでは、女性は定期的に婦人科を訪れ、医師の診察を受けます。若い未婚女性から高齢の女性まで、特に気になることがなくても一年に一度は診察を受けるのが望ましいとされています。

ドイツ癌研究センター(dkfz)は、30歳以上のすべての女性に年一度の触診による乳癌診断を、また50歳から69歳までの女性には2年に一度のマンモグラフィー検査を推奨しています。マンモグラフィー検査を受ける年間合計280万人の女性のうち、3万5000人が乳癌の疑いありと診断され、確定診断のために組織診を受けているそうです。

マンモグラフィーで乳癌が疑われ、生検(組織診)で乳癌が確定するのは約半分。残りの女性は、「検査の結果、異常ありません」と言われることになります。異常のないことがわかるのは喜ばしいことですが、生検はそんなに気軽に受けられるものではないので、「なんでもなかったのに、無駄に痛い思いをした」と感じてしまう女性も多いのではないでしょうか。

でも今後は、生検の必要性はほとんどなくなるかもしれません

マンモグラフィーというのは乳房のレントゲン検査ですが、レントゲン検査では悪性腫瘍と良性のしこりとを区別するのは難しく、マンモグラフィーだけでは乳癌の確定ができません。そのため、針を刺して組織を採取し、しこりが悪性のものであるかどうかを確認することが必要でしたが、ドイツ癌研究センターが発表した研究結果によると、MRI拡散強調画像(Diffusion MRI)の技術を使うことで、かなり確実に乳癌の診断が可能なのだそうです。

MRI拡散強調画像法というのは、MRI(核磁気共鳴画像法)の一種で、組織の中の水分子の拡散運動を可視化する技術です。悪性腫瘍の発生により細胞の密度が高くなると、その部分で水分子がスムーズに拡散しなくなります。ですから、画像上で水分子の拡散状態が悪くなっている部分を悪性腫瘍の場所として特定できます。今回の研究では乳癌診断用に改良した特殊な拡散強調MRI装置を使って検査を行い、その画像を解析したところ、その結果の92%が従来の生検による結果と一致しました。

矢印のオレンジ色の部分が悪性腫瘍 (Image: Deutsches Krebsforschungszentrum)

矢印のオレンジ色の部分が悪性腫瘍                                      (Image: Deutsches Krebsforschungszentrum)

しかし、この検査法では乳腺内の前癌病変を発見することは難しく、すべての乳癌の確定はできないため、マンモグラフィーも併用する必要があるそうです。ですから今後は、マンモグラフィーで癌が疑われた場合に、生検の代わりにMRI拡散強調画像法で確定というのが一般的になるかもしれません。検査も10分ほどで済むそうで、検査を受ける側の心理的負担も軽くなりそうですね。

乳癌だけでなく他の癌にもMRI拡散強調画像法が適用できるかどうか、これから研究が進められるとのことです。

参考:

Bild statt Biopsie bei Brustkrebsverdacht? (ドイツ癌研究センターのプレスリリース)

Neues Verfahren bei Brustkrebsverdacht: Bild statt Biopsie (ポッドキャスト SWR2 Wissenschaft Aktuell)

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