ドイツでも広まる「開かれた大学」 Hamburg Open Online University

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ドイツのシチズンサイエンス普及プラットホーム、、Bürger schaffen Wissenは、ベルリンのマイクロソフト・デジタルイータリーにて定期的に市民啓蒙イベントシリーズ、Science & Peopleを開催しています。9月6日、その第二回目が開かれたので、参加して来ました。

 

第一回目の様子はこちらにレポートしています。

 

今回のテーマは「Open Universities」。開かれた大学教育とは?

 

「大学」と聞くと、高校を出たばかりの若い人が行くところというイメージがまだまだ強いのではないかと思います。でも、大学は若者だけのための場所ではありません。学びたい、あるいは学ぶ必要があるという時期や状況は人によって異なるもので、大学とは人生におけるそれぞれの時期に学ぶことができる場所であるべきだと私は強く思っています。

 

もちろん、「学び」というのは必ずしも大学での学びだけを指すわけではなく、大学以外にもいろいろなタイプ・内容・レベルの学びの場がありますが、大学というのは「ある一定のプロセスを通じ、一定レベルの国際的に通用する成果を出すための学びの場」である点が特徴で、系統立てた知識を身につけることのできる場所です。

すでに当ブログで何度か書いていますが、私は働きながら英国のThe Open Universityで自然科学を学んでいます。そして、そのような学びの場が存在するということを本当にありがたく感じているのです。ですから、「開かれた大学」は私にとって大きな関心事。

 

さて、Science & Peopleイベントの第二回目は、ドイツの通信制大学である、Fernuniversität Hagen(通称、Uni Hagen)の学長によるプレゼンテーションで始まりました。

 

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Uni Hagenは40年以上前に設立され、そのクォリティには定評があります。現在、77.000人が在籍し、ドイツ国内の大学組織としては最大規模。学長のAda Pellert教授によると、在籍している学生の8割が社会人ですが、キャリアアップを目指す会社員だけでなく、育児中の主婦(主夫)、障害があるために通学が難しい人達、外国に滞在中の人達、トップアスリートなど、様々な人が学んでいるそうです。そのうち42%はすでに一度なんらかの学位を取得しており、さらに学ぶために登録しています。

 

Pellert氏は、社会は急激に変化しており、生涯学習の場に対するニーズはますます高まっていると話しました。今やドイツでは「20歳前後のドイツ国籍を持つフルタイム学生」はすでに大学生の標準型ではなくなっているとのこと。また、様々な人々の学びのニーズに応えるだけではなく、学術研究のニーズを社会の中に見出し、社会と密接に結びついた学術研究を進めて行くことが今後さらに重要となると説明し、教育の再定義の必要性を説きました。

ドイツでは基本的に、大学に進学するにはアビトゥアと呼ばれる大学進学資格を取得する必要があるのですが(注:例外はあります)、Uni Hagenではアビトゥアを有していない人にも一定の条件の元、門戸を開いており、また、難民のためのプログラムも提供しています。今後、対象者をさらに広げて行く計画だそうです。

 

Pellert氏のプレゼンの後、新しい大学教育の試みの具体例がいくつか示されました。その中で私が特に興味を持ったのは、ハンブルク大学によるHamburg Open Online University(通称HOOU)。これは、ハンブルク所在の6つの大学と州政府(ハンブルクは特別都市なので、つまり、ハンブルク市の行政)、そしてマルチメディア企業、Multimedia Kontor Hamburgが構成するE-learningのネットワーク。

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このプラットホームが目指すのは、学生と講師、そして学生ではないが学術研究に関心を持つ市民がアカデミックなレベルで協力し合い、個々の大学の垣根を越えた学際的な研究プロジェクトを実施するためのデジタル空間を創出すること。

 

Openという名が表すとおり、HOOUはオープンネス、つまり、開かれた教育をコンセプトの基盤とし、学習コンテンツや研究成果をオンラインで一般公開しています。

既に、60もの研究プロジェクトが立ち上げられ、進行中のものをプラットフォーム上で閲覧することができます。

 

 

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ザーッと見てみて、私が面白そうだなと思った研究プロジェクトには、たとえばこんなのがありますよ。

 

  • コンピューターゲームはメディアリテラシーの向上に役立つか?
  • 環境保護基準を満たし、かつコストを押さえられる飛行機とは?
  • ファッションの未来
  • アフリカの乾燥した過疎地には、水はどのようにして供給されるか
  • 持続可能なエネルギーで小さな島を開発しよう!

 

20代の若者じゃなくても、学生として学術研究に参加できる、そしてなんらかの成果を出して社会に貢献できるかも、、、と思えて来て、ワクワクしませんか?

 

HOOUが提供しているのはプロジェクトだけではありません。オンライン物理ラボ実習もスタートしています。

オンラインで科学実験?そんなことできるわけないでしょう、という人は、是非、こちらの過去記事を読んでみてください。バーチャルでもできることはたくさんあります。

オンラインで科学実験
学びの新しい可能性がどんどん広まって行くことに、私は大きな期待を寄せています。ドイツを中心に世界の生涯学習に関する動きにこれからも注目し、面白そうだと思うものをレポートして行きたいと思っています。。

 

 

 

 

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