ドイツの地熱エネルギープロジェクト バイエルンの例

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脱原子力に向けて官民が一体となり取り組むドイツでは、全国各地で多くの再生可能エネルギープロジェクトが積極的に進められています。

特に盛んなのは太陽光発電や風力発電で、その大きな成果はすでに日本へも紹介されていますが、私が注目しているのは地熱利用のプロジェクト。地熱利用といえば火山国であるアイスランドが良い例として挙げられますが、火山のないドイツにおいて地熱エネルギーがどのように利用されるのか、どのくらい利用できるのか、利用にはどんなハードルがあるのか、とても興味があります。

2003年に発表されたドイツの地熱利用に関するレポート”Möglichkeiten geothermischer Stromerzeugung in Deutschland”によると、ドイツにおける地熱エネルギー利用の技術的ポテンシャルは、国内の電力需要の600倍、温水需要の1500倍だそう。天候に左右される太陽光や水力エネルギーと異なり、地熱エネルギーは基本的に年間365日、1日24時間利用可能(年間平均フル稼働時間は8300時間で、風力の1700時間、太陽光の910時間をはるかに上回ります)なのが大きなメリットですね。

地熱を温水供給や発電に利用するためには、地下から組み上げる温水の温度が最低120℃あることが条件で、ドイツ国内でこの条件を満たす地域は北ドイツ低地(Norddeutsche Becken)、ライン地溝帯(Oberrheingraben)そして南ドイツのモラッセ帯(Molassebecken)の3つ。このうちのモラッセ帯の地熱を利用するため、2010年にバイエルン州レーゲンスブルク市にて再生可能エネルギー会社、FG Geothermie GmbH  が設立されました。その子会社Geokraftwerke.de GmbHにより現在、バイエルン州内の5つの地域(Kirchweidach, Schnaitsee, Gars am Inn, Seebruck, Amerang)で地熱発電・温水利用プロジェクトが進められています。

その中で最も進んでいるのは2010年11月にボーリングが開始されたKirchweidachのプロジェクト。このプロジェクトでは周辺の30の自治体へ電力が供給されるだけでなく、発電後の温水が地域の農業に活用されています。2013年より現地の農産業企業、Gemüsebau Steinerの約12ヘクタールの温室への温水供給が始まりました。それまでの天然ガスや石油から地熱利用へ完全に切り替え、現在では毎日およそ20トンのトマトやカラーピーマンを二酸化酸素を放出しない環境負荷の小さな方法で生産しています。このプロジェクトだけでバイエルンのトマトの地産地消率は8%から15%へとほぼ倍増。年間日照時間の少ない南ドイツはトマトの栽培に適しているとは言えず、消費されるトマトの多くがスペインなどの遠方から運ばれて来ますが、その運搬の過程で排出される二酸化炭素も大幅に削減することができます。

 

Kirchweidachの温室 (Image: Geokraftwerke.de)

Kirchweidachの温室
(Image: Geokraftwerke.de)

 

また、ドイツにおいて地熱エネルギープロジェクトは、魅力的な投資の機会としても注目されています。個人も1000ユーロからプロジェクトに出資可能。プロジェクトに参加すると、年に一度、詳細なレポートが送られて来るので、投資をしながらドイツにおける再生可能エネルギーの取り組みについて学ぶこともできます。

関連動画:

Kirchweidach地熱プロジェクト Part 1 (ドイツ語)

Kirchweidach地熱プロジェクト Part 2 (ドイツ語)

バイエルンのトマトとパプリカ(ドイツ語)

参考資料: GEOKRAFTWETKE.de Jahresbericht 2013-2014 (プロジェクトの最新レポート)こちらからダウンロードできます

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