欧州で普及する母乳バンク、ますます需要が増大 

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母乳は222種類もの様々なタンパク質をはじめ、糖分、脂肪分、ビタミン、ミネラルなどが含まれます。また、母乳は赤ちゃんにとって最も良い栄養であるだけでなく、その中に含まれる様々な免疫物質が赤ちゃんをアレルギーや病気から守るとされ、WHOは生後6ヶ月までの完全母乳育児を推奨しています。

 

ドイツ早産児ネットワーク、Deutsches Frühgeborenen Netzwerk(GNN)は、1433人の早産児を対象とした調査を実施し、早産で生まれ人工ミルクを与えられた赤ちゃんは、そうでない赤ちゃんと比べ、新生児壊死性腸炎(NEC)のリスクが12.6倍高まり、また、気管支肺異形成症 (BPD)は2.6倍、未熟児網膜症(Rop) は1.8倍上昇すると報告しました。

 

高齢出産の増加などによって低出生体重児は増加傾向にあり、その合併症から乳児を守るために、欧州では「母乳バンク」が設置され、赤ちゃんに母乳を十分にあげられない母親がドナーから母乳の提供を受けています。

 

1909年、ウィーンに世界初の母乳バンクが設立されて以来、母乳バンクは欧州各地へ普及しました。

 

(EMBA)

現在、欧州に設置されている母乳バンクの数 (Image: EMBA)

 

最も多くの母乳バンクがあるのはイタリアの33箇所。ドイツには現在、15箇所ありますが、そのうち13箇所が旧東ドイツ地域に設置されています。旧東ドイツに圧倒的に多くの母乳バンクがあるのは、共産主義時代、人口5万人以上の行政区域に母乳バンクを設置することが義務付けられていたため。

1970年代までは、旧西ドイツを含め、ドイツの多くの病院に母乳バンクが併設されていましたが、粉ミルクが普及したことや、80年代にHIVウィルスへ感染への懸念が広がったことなどから、多くの母乳バンクが閉鎖されました。

 

現在、ドイツ国内にある母乳バンクリストはこちら

 

未熟児や病気の赤ちゃんを持つ入院中の母親は無料で母乳の提供が受けられます。入院中ではない母親も有料で利用できますが、1リットルあたり50ユーロと高額です。これは、ウィルス検査などの安全性試験を徹底する必要があるためで、ドナーが得る謝礼金はごくわずか。お金儲けではなく、人助けをしたいという女性達の善意により成り立っている制度です。

 

しかし、年間6万人の赤ちゃんが早産で生まれるドイツでは、現在、提供される母乳が不足しており、母乳バンクの増設が強く求められています。

 

ドナーからの母乳の提供を希望する母親が多いため、母乳バンクを通さずに母乳の取り引きをしようとする動きも出ています。ソーシャルネットワーク上での母乳の売買が行われている国もありますが、安全性の面で問題があるとし、European Milk Bank Association(ebma)は母乳バンク以外のルートでの母乳取引きに関するステートメントを発表し、そのようなサービスを利用しないように呼びかけています。ドイツでは一人の母親が母乳のドナーと受取人を結びつけるマッチングサイト、「Muttermilch-Boerse」を開設しましたが、医療関係者らの批判を受け、閉鎖に至りました。

 

このように、欧州ではまだまだ数が足りないものの、広く普及している母乳バンクですが、日本でも2014年に昭和大江東豊洲病院が日本発の母乳バンクを開設していますね。

 

昭和大病院に「母乳バンク」 低体重児の合併症予防に期待

 

信頼できる安全な母乳の入手ルートとして、日本でも母乳バンクが普及するでしょうか。

 

 

参考:

Frauenmuttermilchbanken boomen

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