エコロジカルな衣料原料として注目されるイラクサ

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ドイツでは田舎だけではなく町の中もとても緑が多く、ほぼすべての人々が日常生活の中で自然に親しんでいます。

 

森の中を散歩したり、公園でくつろいだり、とてもリフレッシュできるのですが、、、、よく足元を見ないで歩いていると、たまに酷い目に遭います。

 

というのは、草の生い茂っている場所には、こういう草がよく生えているのです。

 

(Image: Flickr Iwan Gabovitch)

(Image: Flickr/ Iwan Gabovitch)

これはBrenessel(セイヨウイラクサ)という植物で、棘がたくさんついていて、触れるとものすごく痛い。ヒリヒリとした痛みはしばらく続き、人によっては蕁麻疹が出ることもあります。一般家庭の庭にもよく生えているので、草むしり中にうっかり素手で触ってしまうと辛いです。

 

でも、このイラクサという草は棘があって厄介なだけでなく、大変有用な植物で薬草として使われたり、お茶やハーブとして食べたり飲んだりもします。私はイラクサ入りのチーズが好きです。

 

このイラクサ、最近、木綿に代わる繊維としても注目されているようです。

 

先進国を中心に環境や労働条件に関する意識が高まり、エコロジカルで倫理的なライフスタイルを追求しようとする人々が増えています。食べ物に限らずファッションにおいても持続可能性や社会性を念頭に商品を選ぶのが、これからの消費トレンド。

 

しかし、増える天然素材の需要を木綿だけでカバーするのは無理という供給の問題だけでなく、木綿の栽培は大量の水を必要(Tシャツ1枚あたり最大2万リットル!)とするため環境への負荷がとても大きいという問題もあります。そこで、木綿に代わる新しい天然素材の研究が進められており、注目されつつあるのが、このセイヨウイラクサなのです。

 

イラクサ製の衣類なんて痛そう?茎の内部の繊維には棘はありませんから、ご安心を。

 

イラクサの茎から繊維を取り出すには浸漬という伝統的な方法があります。採集したイラクサの茎を野原に広げ腐敗させます。腐敗に伴い発生する細菌が茎に繊維を癒着させているペクチンを分解します。浸漬の後、靱皮繊維を茎から剥ぎ取り、手間のかかる化学処理を施します。しかし、この方法で繊維を取り出すには何週間もかかり、この作業の間に大雨が降るとせっかく採集したイラクサがすべて使えなくなってしまうことがあります。このため、イラクサを衣類の原料とするにはコストがかかり過ぎ、木綿の代用とするのは難しいと考えられてきましたが、大きな進展があったようです。

 

ドイツ連邦環境基金の委託を受けてニーダーザクセン州所在のInstitut für Pflanzenkulturが現在ハンガリーで進めている栽培実験で、研究者らはセイヨウイラクサの繊維を15〜20%増やすことに成功しました。また、繊維会社、Mattes und Ammann社が浸漬に代わる新しい方法を開発(特許出願中のため、詳細は不明)し、近々、この繊維を使った試作品を製作する予定だそうです。

 

イラクサ繊維の生産コストを木綿と同程度に下げるにはまだ時間と努力が必要なようですが、イラクサは雨水だけで成長するので、環境負荷を大幅に下げることができると期待されています。

 

参考:

Brennnesseln statt Baumwolle: Designer suchen neue Fasern

Von wegen Unkraut (ヘルムホルツ研究所マガジン、Hellholz Perspektiven No.26 2016 November – December号より)

 

 

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2 comments

  • アンデルセンの童話、白鳥の王子を思い出しました。小さいとき、イラクサってなんだ、どうやって糸を取るんだ、と疑問に思っていたのが解決しました。

  • ヨーロッパの童話にはよくイラクサが出てきますね。

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