被曝による細胞の損傷を自動検出するシステム、AKLIDES®Cell Damage

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先日、ベルリン近郊のバイオテクノロジー企業、Medipan社を訪問し、同社が開発・販売している製品、 AKLIDES®Cell Damageについてお話を伺いました。

 

MEDIPAN社は、放射免疫測定を中心に様々な製品を開発していますが、その中で特に注目を集めているのが、DNA損傷検出システム、AKLIDES®Cell Damage。γ-H2AXをバイオマーカーに用い、DNAの二本鎖切断(double-strand break: DSB)を自動検出・測定する装置です。同社は2009年より、ドイツ国内はもとより世界の多くの国へAKLIDES®Cell Damageシステムを輸出しています。

 

(© Medipan)

(© Medipan)

 

DNAは紫外線や放射線、発ガン性物質などにより損傷を受けますが、細胞には自己修復機能が備わっており、損傷が起こるとそれを自ら 感知して速やかに修復を行います。しかし、損傷の程度が大きいと修復メカニズムがうまく機能せず、細胞死や癌化の原因となります。

 

ストレスに対する細胞の感受性は個人差が大きく、たとえば放射線被曝の場合、被曝量が多くても癌になりにくい人もいれば、比較的少ない量でも癌を発症する人もいます。そのため、この程度までの被曝なら大丈夫と一般化することは 難しく、 許容量は本来、一人一人異なるのだそうです。

 

放射線の被曝には、自然界における被曝や放射線を扱う設備の事故などによるもの だけでなく、 CT・レントゲン検査や放射線療法など、医療における被曝もあります。 治療目的で放射線照射を行う際には、できるだけ副作用が生じないよう慎重に被曝量を設定しますが、個人により感受性が異なることを考慮すれば、その人の体質に応じた治療法をデザインすることが望ましいですね。

 

AKLIDES®Cell Damageは、DNAの損傷の中でも癌の発生と特に関わりの深い二本鎖の切断(double-strand break: DSB)を測定します。

 

細胞が電離放射線の照射を受け、DNAの二本鎖に切断が起こると、ATMキナーゼが直ちにこれを感知し、主要な染色体構成タンパク質の一つ、ヒストン2AX (H2AX)をリン酸化します。 このリン酸化されたH2AX はγ-H2AXと呼ばれますが、このγ-H2AXにDNA損傷修復タンパク質、53BP1が結合しγ-H2AXフォーカス(ドット状の集合体)を形成して、二本鎖を修復します。AKLIDES®Cell Damageは、細胞中に形成されるγ-H2AXフォーカスを バイオマーカーとして用いることで、DNA損傷を検出します

 

Fluorochrom

蛍光標識した抗体を使い、γ-H2AXフォーカスを検出・可視化            (© Medipan)

 

(© Medipan)

γ-H2AXフォーカス (© Medipan)

 

以下のグラフは、2名患者の細胞に同量の放射線を照射したときに細胞内に形成された平均フォーカス数の比較です。

 

foci_numbers

(© Medipan)

 

また、 採取した血液サンプルに放射線を照射し、DNA二本鎖切断の修復プロセスを観察することで、その人の放射線に対する感受性を知ることができます。 修復にかかる時間が短いほど、修復メカニズムがうまく機能していることを示します。以下のグラフは3名の癌患者の血液サンプルに1グレイの放射線を照射し、同じ時間におけるDNA修復度を比較したものです。

 

x_Ray

Figure 4 Kinetics of foci in cancer patients after irradiation with 1Gy (Rübe et al., Int J Radiat Oncol Phys 2010 Oct 1; 78 (2) 359-69

 

従来、DNAの二本鎖切断を検出するには、 暗室で技師が顕微鏡を覗きながらγ-H2AXフォーカスを一つ一つ数えなければならず、 大変な労力が必要でした。また、この方法は測定誤差が大きく、他の検出データとの正確な比較は困難でした。Medipan社は世界初のDSB自動検出・測定システム、AKLIDES®Cell Damageを開発し、DSB分析のスピードと精度を大幅にアップすることに貢献しています

 

AKLIDES®Cell Damageは、以下のような用途に使用できます。

 

  • 放射線治療の副作用評価
  • 抗がん剤治療の副作用評価
  • 個人の放射線への感受性評価
  • 個々の患者に応じた治療の最適化

 

AKLIDES®Cell Damageについてご質問のある方、また資料をご希望の方は、以下よりMedipan社へ直接、英語でお問い合わせ頂くか、当ブログの問い合わせフォームから私にご連絡ください。

 

MEDIPAN GMBH

Ludwig-Erhard-Ring 3

15827 Dahlewitz

Deutschland

Tel.: +49 (0) 33708 – 4417 – 0

Fax: +49 (0) 33708 – 4417 – 25

info@medipan.de

 

 

参考:

http://www.medipan.de

http://asakolab.sci.ibaraki.ac.jp/research.html

http://www.ibaraki.ac.jp/news/2014/10/202058.html(茨城大学の中村麻子准教授が関連研究で「放射線影響学会奨励賞」を受賞されています)

 

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